パワハラで退職代行の依頼をする人の多くが「とにかくすぐに辞められればいい」と願っています。もうこれ以上関わり合いになりたくないと思っているのに、こんな結末になると嫌ですよね。
残念ながら、このようなケースは存在します。
代行スタッフにコール対応のスキルがなかったり、依頼を受け付ける相談スタッフが聞き取り項目を理解していなかったりすると、会社とかえって揉めることになってしまいます。
きっぱりと会社に縁を切りたい時こそ、未熟な退職代行を避けてきちんとした業者を選びましょう。
退職代行について「代わりに電話をかけるだけの簡単な仕事」と認識している人が、個人業者を始めるケースが後を絶ちません。
実のところ、それは間違っていると言わざるを得ません。パワハラ・セクハラなどといった問題が起きている会社に電話をするわけですから、様々な知識やスキルが求められます。
退職代行に求められている知識・スキル
パワハラをする人物は、会社ぐるみで問題に無自覚です。
「辛い目にあったためもう出勤できないと仰られています」といった言い回しで代行してしまうと、相手を困惑させて怒りを買ってしまうことでしょう。直接会話したいという考えが強くなり、代行が終わった後に接触されてしまうかもしれません。
また、無許可営業のひとつである「非弁行為」に当たらないよう、細心の注意を払わなければなりません。有給休暇や給料の交渉は退職代行業者に許されていないばかりか、やはり相手の困惑と怒りを誘ってしまうことになります。
一番重要なのは、相談者が今後一切会社と接触せずに済むかどうか、という点です。
仕事道具やマニュアルの場所をウッカリ伝え忘れて、あとで会社から電話がかかってくるようでは、代行サービスの意味がありません。
しかし、代行サービス利用を検討するような心理状態で「あれを伝えなきゃ」と思い出せる人は少ないと言わざるを得ません。退職代行スタッフは相談者から上手く状況を聞き取って「これも確認しましょう」とアドバイスする必要があります。
単に電話をかけるだけといっても、退職代行を完遂するためには実に多くの知識とスキルが欠かせません。
これを理解していないと、あまり品質のよくない業者に足元をすくわれてしまいます。
退職代行業者のなかには、パワハラやセクハラがある事実も確認せずに「じゃあ親のフリをして代行しますね」と請け負ってしまうことがあります。
代行を成功させようという意識のある業者なら、ハラスメントの有無は必ず聞きます。もしハラスメントがある場合、家族のフリをして代行することは積極的には提案しません。
パワハラを行う人物は疑り深いことが多く、緊急連絡先への折り返し電話によってすぐに見破られてしまう可能性があるからです。そして何より、万が一のときは相談者が不利な立場に立たされてしまいます。
実家に知られてしまい、会社からは解雇扱いにされそうになるかもしれません。パワハラをする人物は、そのような力を持つ役職の人物が中心です。
相談中に「家族のフリをして電話しましょうか」と業者から提案を受けた段階で、それが本当に自分のためなのか・そもそも業者は信頼できるのか、一度考えてみましょう。
電話を代行する職業の人間として、ビジネスマナーに則った態度・話し方を守れることは大切です。
特にパワハラ上司の場合、退職したい旨を聞き入れてくれるかどうかは架電者の第一印象にかかっています。間違っても若者ぶったところは出さず、フランクな対応をしてもいけません。
代行スタッフがどの程度「相手の気持ちを慮った語調を使えるか」は、相談したときに何となく分かります。あまりにフランクすぎたり、言葉遣いに乱れのある業者は、一企業に電話をするスキルを持っていないかもしれません。
なんとなく砕けすぎていると感じた時は、一旦依頼を保留にして他の業者を探してみるのもいいでしょう。
パワハラで悩んでいる時こそ、業者の持つ電話と相談対応のスキルは重要です。
相手の逆鱗に触れてはならない繊細な対応を求められるという点は決して無視できません。
他人を装うことを安易に提案したり、相談スタッフの言葉遣いや態度に不安を感じたりした場合は、速やかに代行サービスを再検討するようにしましょう。